はじめに
猟銃を所持する際には、銃本体だけでなく実包(火薬類)を適切に保管する義務があります。
しかし、賃貸住宅に住んでいる場合は「銃器や火薬類を自宅に置いてよいのか?」「管理会社にどう説明すべきか?」といった不安や疑問がつきものです。
この記事では、賃貸での銃器・実包保管に関する制限、管理会社とのやり取りのコツ、そして私自身の体験談を交えてまとめます。

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賃貸で制限される銃器・火薬類
法律上の制限
- 日本では銃砲刀剣類所持等取締法や火薬類取締法によって、銃器や実包の保管方法が厳格に定められています。
- 鉄砲は、**ガンロッカー(基準を満たした施錠可能な金属製保管庫) **を設置して収納することが義務付けられています。設置の際には、壁にガンロッカーをビス留めするなど盗難防止の措置が必要です。
- 実包は**装弾ロッカー**に収納することが義務付けられています。
銃器や火薬類は賃貸だからといって所持そのものが禁止されるわけではありません。
賃貸契約上の制限
- ほとんどの賃貸住宅では賃貸契約書の禁止事項に「銃器や火薬類の保管」が記載されています。地域で鳥獣害被害が多い、狩猟や射撃に理解があるなどの場合を除いて、もともと銃器や火薬類の保管を許可している場合は少ないです。
- 金属製保管庫の設置に伴い、賃貸物件の壁や床に傷や設置跡を残す可能性があります。特に、ガンロッカー を設置する場合は壁などにビス留めしなければならないので、管理会社に許可をもらうか、代替方法にする必要があります。
管理会社を説得する方法
説明のポイント
- 禁止事項として記載されていることに触れる
- まずは正直に「銃器や火薬類の保管が禁止事項に記載されていること」をに触れ、その前提で話を進める。
- 銃器や火薬類の保管が禁止されている理由として、ほとんどが反社会勢力に関わることからだと考えています。
- 法令を守った適切な保管であることを伝える
- 銃はガンロッカー、実包は装弾ロッカーに収納し、厳重に管理する義務がある
- 火薬類取締法に基づき、許可された数量を超えて所持しない
- 安全性を強調する
- 実包は「爆発物」ではなく、適切に保管していれば火災リスクは低い(実包のみ自宅保管する場合は、そもそも銃がないので自宅内で発射される危険性が極めて小さいなど)
- 火薬単体を置くのではなく、弾薬として完成した状態で保管する点を説明
- そもそも銃を所持する目的や内容を伝える
- 単に趣味で所持しているのではなく、狩猟であれば、地域の農作物被害を防止する、個体数管理により生態系に貢献する等社会的意義を伝える。射撃であれば、オリンピック競技にもなっている立派なスポーツであり、競技者として取り組んでいる旨を伝える。
- 具体例を示す
- 「猟友会や射撃競技者は賃貸でも同様に管理している」
- 「警察の許可を受けており、定期的に保管状況の確認もある」
体験談:筆者の場合
私はこれまでに2軒の賃貸マンションで実包管理の許可をいただきました。もともと賃貸契約書の禁止事項に「銃器や火薬類(実包)の保管」が該当していたので、どちらも自宅保管は難しいだろうと考えていました。
初めて管理会社に相談した際は、電話で口頭で説明したのですが、「禁止事項に書いてあるからダメ」の一点貼りでどちらの保管も却下されました。この時の担当者は態度が悪く聞く耳を持たない方だったので、運が悪かったなぁと思いつつもう少し資料など準備しておけばと後悔しました。
どちらも保管できないとなると、銃も実包も委託保管することになりますが、最寄りの銃砲店では銃の保管はできても実包の保管はできないとのことで(自宅保管できなければ、射撃や狩猟の度に実包を購入し余りが出れば廃棄=廃棄コストもかかるのでかなり非効率)実包だけでもどうにか自宅保管できないかと悩んでいました。
そこで、管理会社に交渉リベンジすることに。今度はしっかり資料を作り込みました。狩猟の社会的意義、実包保管の必要性、安全管理について1,500字程度(A4一枚)にまとめ、実際の実包保管庫の仕様や写真を添付し、メールで送りました。2度目の担当者は傾聴の姿勢があるようで、「判断が難しいので内部で検討します」という旨の返信がきました。数日後、メールと電話で返信がきました。「書面で送った内容(安全管理等)を遵守することを条件に、実包の保管を許可します」という旨でした。
これらの経験から言えること
- 資料をしっかり準備すること(内容は前述の「説明のポイント」を参考に)
- まずはメールで丁寧に説明する。素人でもわかるようになぜ、銃を所持する必要があるのかなど。→できればその後電話(口頭)で話す。※自分が如何に危害を加えない安全な人間であるかをアピールして安心感(信頼感)を与えることが重要だと思います。
- 担当者によって対応が変わるので、一度失敗しても再度交渉してみる
まとめ
- 賃貸住宅でも、法令を守って適切な保管を行えば実包管理は可能
- 問題は「管理会社や大家の安心感」なので、法令遵守・安全性を丁寧に説明することが大切
- 実体験を踏まえながら、信頼関係を築くことがスムーズな生活につながります

