狩猟免許を取得して最初にぶつかる大きな悩みのひとつが、「どの散弾銃を選ぶべきか」です。
特に人気があるのが 上下二連散弾銃 と 自動銃(セミオート)。どちらも魅力的ですが、特徴や用途が異なるため、自分に合った銃を選ぶことが大切です。
ここでは、私自身が上下二連散弾銃を使ってきた経験をもとに、両者のメリット・デメリットを比較してみます。
上下二連(元折式)散弾銃とは?

上下二連(元折式)散弾銃とは、その名のとおり銃身が上下に二本並んでおり、銃身をパカッと開いて装填・排莢する構造の散弾銃です。
シンプルな構造で壊れにくく、また銃身を折ることで弾が装填されているかどうかが一目でわかります。
- メリット
- 安全性が高い(銃身を開けば弾が装填されているかどうか一目瞭然)
- 故障が少なく、メンテナンスも比較的簡単
- クレー射撃でよく使用される
- 見た目が美しいクラシカルなデザインが多い
- 多くの上下二連銃にはセレクターがあり、上の銃身と下の銃身のどちらから先に発射するかを選択することができる

- デメリット
- 弾数が2発まで(追い撃ちが難しい)
- 銃身を折り、排莢し、弾を込め直す動作が必要
- 銃身が2本ある分、自動銃に比べると重くなることがある
自動銃(セミオート)とは?

自動銃は、発砲の反動を利用して次弾を自動的に装填する仕組みです。
一度構えて引き金を引けば、連続して2~3発を素早く撃つことが可能です。
- メリット
- 連射性が高く、素早い追い撃ちが可能 →狩猟(鳥猟やシカ猟)で有利
- 反動が軽減されやすく、撃ちやすいモデルも多い
- デメリット
- 構造が複雑で、動作不良やメンテナンスの手間が増える
- 装填した弾を入れ替える際は、1発ずつ抜かなければならない
- 弾薬の種類によっては動作が安定しないことがある
- 安全確認をする際、薬室を開放して排莢して弾が装填されていないことを確認する必要があり、上下二連に比べて一手間かかる。
- 弾を装填する際にガシャっという音が出るため、シカ猟やカモ猟などで獲物に気づかれやすい
- 構造上、真横に排莢されるため、クレー射撃の際、薬莢が隣の射台などあらぬ方向に飛んでいく。(他競技者にとってよく思われないことがある)
初心者が選ぶときのポイント
- 安全性重視 → 上下二連
→ 銃身を開けば安全が一目瞭然。警察の実地審査や猟場での安心感も高い。 - 効率・連射重視 → 自動銃
→ 「3発目を素早く撃ちたい」「装弾数が多い方がいい」 - 価格
→ 上下二連より自動銃の方が比較的安価なものが多い。
筆者が上下二連銃を選んだ理由
私自身、狩猟を始めたときから上下二連を使っています。理由は「シンプルで扱いやすく、安全性が高い」と感じたからです。
クレー射撃や狩猟中の脱包確認は、多くても多過ぎることはありません。そんな中、上下二連は、銃身を開けば一目で安全が確認でき、仲間にも安心して示せる点が大きなメリットです。
また、弾数が2発しかないことがデメリットのようですが、実際には「一発を確実に狙う意識」が身につきます。2発とも当たらなければ、射撃技術に問題があると考えて、射撃練習に努めるべきだと思います。
また、自動銃の装填音はガシャっと硬い音がでますので、カモ猟やシカ猟で獲物に気づかれやすいと感じました。一方で、上下二連は、装填後、静かに薬室を閉じることができるので、獲物が逃げにくいのではないかと思います。

まとめ
- 上下二連散弾銃 → 安全性・シンプルさ・初心者の安心感を重視する人、クレー射撃をメインでやる人
- 自動銃(セミオート) → 連射性や効率を求める人、狩猟でとにかく数を撃ち当てたい人
最終的には「どんな狩猟をしたいか」で選ぶのが正解です。
私の経験からいえば、最初の一本は上下二連を選んで良かったと感じています。狩猟を始める人にとっては、銃を「安全に」「確実に」扱えることが何より大切と思うからです。
また、最初から高い銃を買うのではなく、いずれ買い替えることを前提として、必要性が出てきたら、自動銃やスペックの高い銃を新たに購入したらいいと思います。
初めての銃選びで、少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

